借りる側
少しでも安い月々の賃料
貸す側
少しでも高い月々の賃料並びに1日でも早い賃料発生(空室解消)

借りる側は1円でも安い賃料、貸す側は1円でも高い賃料を望むという事はお互いに分かりやすいですが、
貸す側はその上で1日でも早い賃料発生を望んでます。
借りる側は物件を使用できる権利という事に対して対価を支払います。
貸す側は使用させる権利を与えることにより対価を得ます。
借りる側はその使用できる権利を得るまでは費用は発生しません。
しかし貸す側は使用させる権利を与えていない間でも何ら費用が発生しないわけではありません。
数字として表しやすいのは固定資産税などの税金、表しにくいものは外装、内装などの経年劣化による資産価値低下などですね。
なので貸す側としては賃料が発生していない期間は赤字となり費用が発生していると言えるのです。
それでは下記のパターンを見てみましょう。
①例えば100,000円の賃料で募集している物件があったとしましょう、相場より高いので空室より8ヵ月後に入居が決まりました。
空室になった時から1年後の累計賃料は400,000円です。
②同じお部屋を相場の95,000円で募集しましたところ、空室より2ヵ月後に入居が決まりました。
空室になった時から1年後の累計賃料は950,000円です。
③また相場より安い92,000円で募集しましたところ、空室より1ヵ月後に入居が決まりました。
空室になった時から1年後の累計賃料は1,012,000円です。
さらに数年後はこのようになります。
| 空室時より | 1年後 | 2年後 | 3年後 | ・・・ | 10年後 | 10年3ヶ月後 |
| ①100千円/月 | 400千円 | 1,600千円 | 2,800千円 | 11,200千円 | 11,500千円 | |
| ②95千円/月 | 950千円 | 2,090千円 | 3,230千円 | 11,210千円 | 11,495千円 | |
| ③92千円/月 | 1,012千円 | 2,116千円 | 3,220千円 | 10,948千円 | 12,052千円 |
上記の表で分かることは相場より高い①だと入居者が決まりにくく空室期間が長くなってしまうため累計賃料が一番多くなるのは10年以上かかります。
逆に相場より安い③だと空室期間が短いためスタートが早いが3年程で相場通り②の累計賃料が上回ります。
そこで重要になってくるのが『契約期間がどのぐらい継続するのか?』となってきます。
賃貸住宅の平均入居期間は単身向けマンションで3~4年程度、ファミリー向けで6~7年程度と言われています。
表①の賃料では単身向けよりファミリー向けが多くなりますので6~7年程度が目安になるでしょう。
単身向け、ファミリー向けを問わず貸す側としては少しでも高い賃料で借りてもらいたいが空室期間が長いのは困る訳で結果としてそれなりの空室期間で相場通り②が一番無難となるのです。
よく言われる申込から希望入居日まで賃料発生を待ってもらえる期間が最大1ヵ月程度と言われ、それ以上になると断られるというのはこのような理由があり、相場より安いといわれる物件ほど申込者が増える見込みがあるため賃料発生が1日でも早い方を選ぼうとするのです。
申込時に借りる側は少しでも賃料を安くしてもらう交渉方法の肝はここにあるのです。
例えば賃料60,000円/月 ※月30割として
現在賃貸中との被る日割り家賃を1日でも無駄に払いたくないから28日後からの入居日とする・・・①
28日後からで良いのだが14日後からにするので賃料を59,000円にしてほしいと交渉する・・・②
| 入居日より | 当月 | 1ヶ月後 | 1年後 | 2年後 |
| ①(28日後より使用可) | 6,000円 | 66,000円 | 726千円 | 1,446千円 |
| ②(14日後より使用可) | 33,434円 | 約93,000円 | 約742千円 | 約1,450千円 |
②では長い目で見ると貸す側は賃料を下げると実入りが少なくなります、しかし早期の賃料収入であったり賃料原因で退去されるといった空室リスクの低下といった魅力もあります。空室リスクについては表①をご覧の通りで1ヶ月入居が遅れるだけで回収に年単位となるので出来るだけ空室が出ないことが望ましいのです。
借りる側も2年後から累計賃料は少なくなり、使用開始時期も早くなり掃除をしたりといったゆとりをもった引っ越し準備が出来ます。
このように相手の立場を思慮した交渉をおこなえば結果としてウィンウィンの関係になれるのです。

借りる側の方で①で「賃料交渉をすればよいやん」と思われるのも当然あると思います。
でも貸す側にメリットを与えなければ交渉ではなく一方的な希望(わがまま)であり、仮に承諾を得れたとしても少なからず入居審査に影響を及ぼす可能性もあり審査が通らなければ本末転倒となりかねません、また契約に至った後も年単位で続くであろう関係性にマイナスを与えるだけではないでしょうか?
少なくとも当社がお取り引きさせて頂いているオーナー様の中には「あの入居者は契約時に〇〇だった」とマイナスイメージで記憶されておられる方もいます。

また、貸す側も少しでも高い月々の家賃に固執し、賃料交渉に全く乗らず契約の機会を逃してしまっている場合もあります。
結果として得られた賃料分を回収するのに数年~十数年かかるといった事も起こっています。
賃貸物件というのは日常のコンビニや飲食店でおこなっている瞬間的な契約事ではなく数年に亘って継続されていくものなので
お互いを尊重しあう事が結果としてより良くなるのではないでしょうか。

