複数の業者から同じ人の申込

弊社の管理業務の一環に空室の入居者募集があります。
その募集業務の中で次のような事が起こることがあります。

A社「(仮称)山田さんのお申込書を送ったのでご確認お願い致します。」

A社に遅れること数時間後
B社「山田さんのお申込書を送ったのでご確認お願い致します。」

※同じ建物で同じ部屋、かつ山田さんは同一人物です

この場合、だいたいA社の方はキャンセルと言ってきます。

何故このような事が起こるのでしょう?
弊社の今までの経験ではほとんどが下記のどちらかの理由です。

  1. 山田さんの契約金を1円でも安くしたい為、A社で申し込み後に不動産屋をハシゴし相見積もり・・・山田さんの主導
  2. 山田さんのA社で申し込みした物件の契約を横取りしたいB社のいわゆる飛ばし行為、A社の見積もりを見て1円でも安い契約金提示をB社がおこない山田さんがB社でも申込・・・B社の主導(

1.については物件は満足であるがもしかしたらA社より安く契約できるところがあるかもしれないといった山田さんの考え
2.は物件は十分満足であるがもしかしたらもっと良いのがあるかもしれないとA社以外にも行ってみたが無く、ヒアリングでA社で申込済みの物件を知ったB社がA社よりも安くすると甘言したもの

いずれにしても山田さんは物件は同じで契約金が1円でも安くなるのであれば良いというのが最優先にあってこのような事になっているのでしょう。
もちろん誰しもが安い方が助かるので気持ちは分かります。
しかしこの行為は貸主側から見てどうかとなると、必ずしも良い行為とは言えません。

なぜ安くなれば良いと思う山田さんの行為が良くないとなるのでしょうか?

それは賃貸物件は貸す側と借りる側の双方があってこそ成り立ちます。
どちらか一方の思いだけでは成り立ちません。

契約前の段階では

借りたい側貸したい側
・少しでも優良な物件
・少しでも安い月々の賃料
・少しでも安い契約金
・少しでも早い空室解消
・少しでも高い月々の賃料
・少しでも優良な契約者

このようにそもそも貸す側と借りる側では求めているものが違います。

借りる側の求める『少しでも優良な物件』については
貸す側も『少しでも早い空室解消』を目指すため費用対効果を考えながら良好な物件とみて頂けるよう
リフォームなど様々な事を行い結果として資産価値が上がるのでお互いにウィンウィンの関係となります。
(過去記事※少しでも優良、少しでも…)

借りる側の求める『少しでも安い月々の賃料』はその賃料に見合う以上の優良な物件かどうか、
貸す側の求める『少しでも高い月々の賃料』は空室期間が短くかつ最大限の賃料かどうかになるので結果としていわゆる相場通りになるでしょう。
(過去記事※借りる側と貸す側の賃料に対する考え)

A社とB社のどちらかの申込書が正式なものと決定されてから物件オーナーに話を持っていくのですが、このような経緯があったことは貸す側として契約に至るべきかの判断材料の一つになりえると考えておりますので貸主の資産を管理している立場としては伝えるべき事ではないかと思います。(管理会社によっては違う考えかもしれませんが)

その結果『少しでも安い契約金』を求めてこのような行為をおこなう借りたい側を貸したい側が『提案や内見などをおこなった不動産屋を無下に扱う、私利私欲が強い考えの方』つまり『不良な申込者の懸念あり』と判断することがあります。

その上で貸す側は『少しでも早い空室解消』を優先し「契約を進めてください」と言う事もありますし、「申し込みはありがたいけど、そんな方は住んでからもトラブルを起こしそうなので断ってください」ってなることもあります。
いわゆる『オーナー審査落ち』ってやつです。
審査落ちって言うのは理由を述べる必要が無いとされてますので山田さんは一方的に『審査落ち』と告げられるだけです。

ほとんどの方は自分のライフスタイルに一番合った物を相応の時間や物件数の中から選び抜いて申し込みを行っていると思います。
審査落ちは借りたい方だけでなくお手伝いした不動産業者ともに金銭的価値にすると相当な損失でlose-lose(win-winの反対)です。
一方で横取りしたB社は契約成立すれば利益が生まれ、もし横取りが要因で審査落ちとなった場合でもB社はA社が申し込みまで進めていたものを横取りしただけなのでほぼ損失はありません。
A社とB社のどちらが審査を含め契約に向けて一生懸命仕事をするかは明白です。

仮にA社よりB社が契約金を10,000円値引きしてくれたとして、その値引きの為にこれまでの時間ロスと希望物件をあきらめるリスクを背負うのはすごくもったいない気がします。